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【記事訳】「雲が描いた月明かり」脚本家のインタビュー [【韓国ドラマ】雲が描いた月明かり]

「雲が描いた月明かり」の褒賞旅行から戻って来た俳優さんたちは、その後インタビューに追われているようですね。ちょっと検索しただけでも韓国サイトにはインタビュー記事があふれています。あまりに多すぎてどこから手を付けていいのやら。
そんな中、前から気になっていた脚本家キム・ミンジョン作家のインタビューがありました。原作小説とはまた違う作品になったドラマを書いた人からどんな話が飛び出すのか、とても興味深く読みました。
記事の日本語訳もしてみました。ただし、この中にはドラマの結末や小説の結末に関する内容が含まれていますのでご注意くださいませ。
  

「雲が描いた月明かり」キム・ミンジョン作家が明かしたこの一年の話(インタビュー)
記事入力 : 2016-10-26 08:52
 [BIZ ENTERキム・ソヨン記者]

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▲(出処=KBS2 月火ドラマ「雲が描いた月明かり」スチールカット)

「『雲が描いた月明かり』スタートから最終回の放送までちょうど1年かかりました。キム・ソンユンPD、ペク・サンフンPD。イム・イェジン作家、出演陣たちとこれまでに溜まった話をセブでしてこようと思います。」

フィリピンのセブへ褒賞休暇で旅立つ前日、KBS2「雲が描いた月明かり」のキム・ミンジョン作家とようやく電話インタビューを実施した。一度丁重なお断りの後に進めた電話インタビューにキム・ミンジョン作家は正直な胸の内を伝え、これまでの話を語った。

「雲が描いた月明かり」のキム・ミンジョン作家に度重なるインタビュー依頼をしていた理由は、原作を読んだ人も認める優れた脚色のためだった。最初は微弱だったが、終わりは壮大だった。10月18日に終了した「雲が描いた月明かり」ほどこの言葉がしっくりくる作品があるだろうか。「雲が描いた月明かり」は初回放送視聴率8.3%でスタートし、わずか3話にして視聴率が2倍に急上昇したと思ったら7回には魔の視聴率と呼ばれる20%を突破した。「雲が描いた月明かり」の人気の秘密として幾つかの要因があるが、その中で欠かせないのが台本だった。初々しい朝鮮の若者たちのロマンスと宮中の暗闘を興味深く引き出し、視聴者たちの心を最後まで引っ張った。


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▲(出処=KBS2 月火ドラマ「雲が描いた月明かり」スチールカット)

Q:「雲が描いた月明かり」が幕を下ろした。最終回放送後どんな一日を過ごしたか?

キム・ミンジョン:キム・ソンユンPDに原作を勧められ読み、放送を終えるまでちょうど1年かかった。まずはぐっすり寝られるので嬉しく、19話構成でなくて嬉しい。(「雲が描いた月明かり」は全18話で終了した)まだ2~3時間ほどで自然と目が覚める。最終回打ち上げの時に聞いたら、私だけでなく他のスタッフたちも同じようにぐっすり寝てもいいのに、そうして目が覚めると言っていた。とてもタイトな日常だったのだ。でもまた寝ることができて幸せだ。

Q: 1年のプロジェクトを終えた感想はどうなのか?

キム・ミンジョン:まずは感無量だ。終わる日がいつ来るのか、来るのは来ると思っていたが、ちゃんと終えて嬉しい。そして申し訳ない気持ちもある。「雲が描いた月明かり」は共同作業だった。台本作業も私とイム・イェジン作家が一緒に苦労したのに、私だけ目立っているようで。それでこうしてインタビューをするのも憚られる。みんなが一緒にやったお陰で良い結果で終えることができたようだ。

Q:「雲が描いた月明かり」の人気がこんなに凄いとは放送前には誰も予想できなかったそうだが。初めて視聴率20%を突破したときの気分はどうだったか?

キム・ミンジョン:その通り(笑)。私たちだけで何か記憶していた時の、初々しくきれいな青春ロマンスで行ったらいいなと小さな願いから始まった。徹夜で作業をするので、明け方に台本を書いていると視聴率の記事をメールで送ってくれて知った。喜びつつも怖かった。視聴率の期待を維持しなければならないプレッシャーがあった。それでも有難かった。

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▲(出処=KBS2 月火ドラマ「雲が描いた月明かり」スチールカット)

Q: 1年のプロジェクトの最初の第一歩は脚色ではないか。前作「恋するジェネレーション(原題:フーアーユー学校2015)」と「雲が描いた月明かり」の作業の違いはどんな所だったか?

キム・ミンジョン:原作があるのと無いのとでは企画段階に違いがある。原作があるものは登場人物、背景などある程度の場が敷かれた状態で作業をするのだ。原作と違いドラマは歴史上の人物でない虚構の人物で設定し、主人公の名前も漢字を変えて発音は同じでも違う名前にした。それでもラオンが内侍になり、各々のエピソードは原作から持ってきた。こんな部分は原作があることの長所だった。しかし全く最初から物語の構成を直接作るのではなく、その中で場面に合わせなければならない難しさは確かにあった。

Q: それにもかかわらず、原作があった「雲が描いた月明かり」の執筆をしようと乗り出した。

キム・ミンジョン:今でなければできないと思った。「雲が描いた月明かり」は色々と私にとって挑戦だった。脚色も、時代劇も、私には全てが初めてだった。最初に提案を受けたのはミニシリーズの初執筆作だった「恋するジェネレーション」を終えた後だった。私のカラーや得意な部分が決まったら、新たな挑戦は絶対に出来ないだろうと思った。一度やってみるなら今やらなくちゃという思いに、恐れと不安が多かったがやることになった。原作も面白かった。原作が持つ設定がドラマ的に説得して広げられるか心配もあったが、面白いという思いがあった。


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▲(出処=KBS2 月火ドラマ「雲が描いた月明かり」スチールカット)

Q:視聴者を説得するため苦労した所は何だったのか?

キム・ミンジョン:
個人的に事件が大きく広がるとか、劇的に新しい状況が繰り広げられるのではなく、現実で感情により穏やかで繊細に紐解く物語が好きだ。しかし「恋するジェネレーション」もそうだし、「雲が描いた月明かり」もそうだし、ヒロインが直面する状況が劇的だ(笑)。無理な状況を可能な感情で理解されるように紐解こうと努力した。

Q:台本が出てきて俳優たちのキャスティグ情報を聞いた時はどうだったか?思っていた部分とぴったり合っていたか?

キム・ミンジョン:ヨンのパク・ボゴムやラオンのキム・ユジョン、ユンソンのジニョンなど出演した皆が良い俳優たちだと思った。そのイメージにぴったり合っていた。主人公たちとは撮影に入る前から頻繁に会って台本のリーディングをした。お互い気楽に意見をかわした。明け方にも会って台本リーディングをした。それぞれ読みながらお互い考えるトーンがどの程度なのか話をして、私がどんな感じで書いたシーンなのか、その状況でこうだと言えば理解して受け入れてくれた。

Q:脚色の過程で実際の歴史的人物を虚構の人物に変えた理由があるのか?

キム・ミンジョン:ドラマ的なカラーを着せることができた。キャラクターの設定が歴史的基盤でなく現代的なカラーが多い。それでエンディングも時代劇だが若者としてのヨンとラオンを思うことができた。ヨンとラオンの結婚よりはヨンの側でラオンが力になり、ラオンがまっとうに暮らせる世の中を作るために尽力するヨンの姿が若者にふさわしい結末だと判断した。

Q:しかしながらチョン・ヤギョン、ホン・ギョンネは歴史の中に実在した人物にもかかわらず、原作と変わりなく登場する。

キム・ミンジョン:チョン・ヤギョンは無数の多くの作品で登場するが、それぞれに違う姿で表現されていた。そんな面白さを生かしたかった。ホン・ギョンネは名前をそのまま持ってくるのか、そうしないのかで議論があった。ホン・ギョンネという名前が与える意味があるのではないか。それが必要だった。私の脚色の基準はドラマ的な面白さだった。ドラマ的に生かせる部分は生かした。代理聴政とかそんな部分は実録にも出ていたし、原作にあるエピソソードをそのまま使ったのだ。

Q:後半に入ってからホン・ギョンネが民主主義について説破する部分に対し甲論乙駁(議論が色々出てまとまらないこと)があった。

キム・ミンジョン:知っている。ホン・ギョンネが生きて戻ってくること、そして民主主義について論じるのは企画段階から決めていた部分だった。イ・ヨンとラオンが「ロミオとジュリエット」になるにはホン・ギョンネを過去の人物として残すのでは力が不足した。また逆賊でなく民のために蜂起した人物としてヨンが作っていく世の中のビジョンを提示する人物が必要だった。ただ分量で削除された側面もあって、企画当時の意図ほどに生かせずに残念だった。

Q:「雲が描いた月明かり」が当初20話で企画され、その後18話になったためなのか?その後再び延長の話が出たが結局18話を固守したではないか。

キム・ミンジョン:18話がやはりよかったという思いは今もある。中盤部分に伸びた評価が出た部分を話に引っ張ったらどうだったかという残念さを内輪で話したりした。緩急の調節がだめだったようだ。


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▲(出処=KBS2 月火ドラマ「雲が描いた月明かり」スチールカット)

Q:ユンソンの死も原作と違う。

キム・ミンジョン:ユンソンは最初から祖父(キム・ホン)との関係の中で思い通りに出来ずに育った。その上祖父は欲を捨てなかった。結局最も大切な存在であるユンソンを失って初めてキム・ホンは反省した。ユンソンはラオンを愛する感情を、祖父を食い止めながら終わらせた。そんな部分が最終回で話が殺到し、ユンソンの感情が詳しく敷き詰められなくて残念に思われた方もいらっしゃるようだ。それでもジニョンは良かった。撮影現場に自然の霧が立ち込めジニョンが最後の演技をする時、感情が妙な気分だったと言っていた。私の立場でもユンソンが死んだことに対する視聴者が感じる痛みも理解でき、ユンソンという役割について最後にインパクトある何かをしてあげたかった。ユンソンがこれといった変化なく終えるより強靭な印象を与えたかった。

Q:小説とは違うドラマならではの「味のある言葉」も好評だった。毎回エンディングを飾る台詞でパク・ボゴムは「エンディング妖精」というニックネームまで得るようになった。

キム・ミンジョン:時代劇が初めてなので序盤には台詞を書くのもとても難しかった。やってみると時代劇だけが可能な台詞の面白さがあった。今の男が言えばおかしいだろうが、王世子が言えば全く変でない、それで思い切りやれることがあった。命令口調に気難しく冷たい感じを生かそうと、なるべく短くて力のある文章を書いた。それが面白くカッコよく出たようだ。ボゴム氏の演技が上手だった。

Q:ドラマの序盤に比べ物語の集中力が落ちたという評価があった。国内のドラマ制作状況を考えると文を書く作家が最も悔しかったのではと思う。

キム・ミンジョン:中盤部から追われてはいた。悔しさよりは「台本をもう少し早く書いていたら」という申し訳ない気持ちが大きかった。俳優たちにも。十分に台本を全て書いていけたらよかったのに、最後には時間に追われてそうだったことがある。申し訳ない。すべての作家たちがそうなのだ。


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006▲(出処=KBS2 月火ドラマ「雲が描いた月明かり」スチールカット)

Q:「雲が描いた月明かり」を終えた後の計画が気になる。

キム・ミンジョン:次期作について皆さんよくお聞きになるが、まだわからない。私が「雲が描いた月明かり」をしている間、この一年本当に良いドラマがたくさんあった。「シグナル」、「W」、「また、オ・ヘヨン」のような良いドラマを私は一つも見ていない。ようやく他のドラマを楽しんで見られると喜んでいる。たくさん見て学んで準備する時間を持たねばならないようだ。少し充電してから別のことをやるだろう。

記事原文↓

(日本語訳:花かんざし)


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Samshikmomo

花かんざしさん こんにちは。

私は10月19日付の脚本家とのインタビュー記事(英文)を読みました。
http://english.yonhapnews.co.kr/news/2016/10/19/9/0200000000AEN20161019009300315F.html

その中で一番印象に残っているのが ”One part she wishes she could have done better is where the female protagonist (Kim Yoo-jung) loses her cheeky and charming character due to an unexpected turn of events.” (「予期せぬ出来事が次々起こって、ラオンが明るく・人を引き付ける性格を無くしていった部分をもっと上手に書いていればよかった」) ということでした。

「ラオンがああなってしまったのは反逆者の娘であるという重みを考えれば仕方のないこと」 と説明していますが、やはり脚本家もラオンの後半部分での取り扱いは心残りなのでしょう。

雨のシーンを上手に使う脚本家だと私は思います。特に素晴らしいと思ったのは、ラオンが反逆者の娘だと初めて聞いて世子が呆然として立ち尽くし、雨の降る音だけが聞こえてくるシーンです。スゴイ。

この脚本家にはまた良い作品を書いてもらいですね。

*******

ドラマ終了後のインタビューで一番心に残っているのが、パク・ボゴムが今度は現代もので若者が成長して大人になっていくのを扱ったドラマをやってみたい(だから制服が着たい)、時代劇はもっと先に… と言ったことでした。私は韓服姿の彼がまた見たいのに…
by Samshikmomo (2016-10-28 02:41) 

花かんざし

Samshikmomoさん、こんにちは!
コメントありがとうございます~^^

10月19日付の聯合ニュースのインタビューは韓国語版では①~③ですが、
英語版は韓国版の要約版のような、内容がちょっと違うような...
でも韓国版でも後半の急変したラオンのキャラクターについて難しくまた残念だったという話をされています。ホン・ギョンネを生きていたことにする設定は最初から決まっていたようですが、ドラマのトーンが前半明るいものだっただけに、後半は別のドラマを見ているかのような重苦しい展開で、前後の落差が激しすぎましたね。

この夏から秋にかけて日本は雨の日が多かったように思いますが、韓国はどうだったのかしら?時代劇だから雨だと撮影も大変でしょうし、ドラマの中では雨の日の設定は少なくて、だから余計に雨が印象的なシーンが多かったですね。
おしゃる通り、あの真空シーンは名シーンでしたね~^^

クルミは若い世子と宦官の物語だったので、あまりお髭の人はいませんでしたが、普通、時代劇の場合髭がつきもので、でも今のボゴムさんにお髭は...!
ボゴムさんのインタビュー記事がたくさん出ていることは知っていますが、内容が全然追えてなくて...早く読まなくちゃ~~

by 花かんざし (2016-10-28 18:20) 

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