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AYO(アジア・ユース・オーケストラ) [クラシック音楽]

先日、久しぶりに友人と一緒にオーケストラの演奏を聴きに行ってきました。
予備知識なしだったので思いがけず素敵な場面に立ち会えて感動のお裾分けを頂いてきました。若い音楽家たちのひと夏のドキュメンタリ―番組の最後の場面を見たような演奏会でした。

演奏したのはAYO(アジア・ユース・オーケストラ)というオーケストラ。毎年夏にアジア各国からオーディションで選ばれた若い演奏家たちが香港で3週間のリハーサルキャンプの後に3週間のアジアコンサートツアーをするという6週間のサマープログラムの演奏会です。実はこの活動は今年で20年になるそうです。

入口で頂いたパンフレットを見ると8/15,16には韓国でも演奏会をしていました。会場はあの「ベートーベン・ウィルス」第5話の公演シーンでも使われた「城南アートセンター」。その他にも中国の深圳市、香港、北京、天津、日本の佐賀、別府、京都、そして東京。3週間で9都市15公演というハードスケジュールをこなしてきたAYOですが、私の見た東京公演が今年のプログラムの最後の仕上げの日でした。そのせいか団員たちのテンションもかなり高めでした。

曲目はリヒャルト・シュトラウスの曲ばかりで「交響詩ドン・キホーテ」「交響詩ドン・ファン」「薔薇の騎士(組曲)」でした。公演に行くことにしてから慌てて図書館でCDを借りて聞いてみましたが、今までに聞いたことがない曲ばかりでした。「ドン・キホーテ」はバレエの方は見たことがあるのですが、あちらはミンクス作曲の全然違うものですし…。

ところで、今回の席はオーケストラを斜め後ろから見る2階席でした。いつもは指揮者の後ろ姿を見ているのに今回は逆で指揮者と客席が良く見えました。客席って意外と明るく見えているものなんですね~。席からは演奏者たちの楽譜がよく見えましたし、打楽器、木管楽器もしっかり見えました。まるでオーケストラの中に紛れ込んだような場所でとても面白かったです。一番感じたのが指揮者の必要性。何もしなかったらバラバラになりそうなたくさんの音を指揮者が手綱を引いて操っている印象を受けました。

「交響詩ドン・キホーテ」はチェロのソロが主人公のドン・キホーテを、ビオラのソロが従者サンチョ・パンサを表しているようで、この二人のソリストの演奏が目立っていました。この曲はきちんとストーリーがあるので今度聞く時はちゃんと勉強していこうと思いました。この日のチェロソリストは中国のチェロ奏者ジャン・ワンさんでした。友人が教えてくれましたが使っている楽器は「アマティ」だそうです。アンコールで演奏してくれた曲はJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」の中から二曲でした。この時ばかりは普通の客席側に行きたかったです~。

休憩後は「交響詩ドン・ファン」そして「薔薇の騎士」。曲ごとに木管や打楽器がパートを入れ替えたりしている様子がよくわかりました。「薔薇の騎士」の最後は一部の楽器を除いてほとんど全員が起立して演奏していました。おしまいにはチェロまで立ち上がって!かなり盛り上がった状態で終わりました。

その後このAYOの創設者であり、芸術監督、そして指揮者のリチャード・パンチャス氏から団員の紹介とお話しがありました。20年前から始まったこの活動。今年もちょうど6週間前にアジア各国から集まった団員達が3週間厳しい練習を積み重ね、そして3週間の演奏旅行に出かけ、その間にお互い切磋琢磨しながら腕を磨き友情を育みながらここまで来て。明日になればまたそれぞれの生活に戻ることになるでしょうが、ここでの貴重な体験は一生の宝になるのでしょう。

アンコールで演奏されたエルガーの「エニグマ変奏曲のニムロッド」はさっきの興奮状態から一変して締めくくりにふさわしいしっとりと穏やかな曲調で、今この瞬間を大切に噛みしめているような演奏でした。今回のプログラムが始まって一番最初に練習した曲だそうです。きっと団員の頭の中ではこの6週間のことが走馬灯のように巡っていたのでしょう。

曲が終わると団員たちは感動の涙を流しながらお互いにこれまでの労をねぎらい、感謝し、互いの友情を確認し合いながら舞台を降りていきました。観客たちも惜しみない拍手を送っていました。厳しいオーティションを通ってこの舞台に立つこと自体が大変なことだったでしょう。また音楽を続けることも困難の多いものなのかもれません。きっと集まった108名それぞれにドラマがあるのでしょうね。

長いプログラムの一番最後だけしか見ていないのにいろいろと想像して勝手に感動していました。アジアと一口に言ってもそれぞれの国で違う文化、言語、宗教、習慣がありますが、音楽を通じて一つになれるということを証明してくれましたし、アジアには優れた才能を持つ若者が多く存在することも見せてくれました。音楽を愛する若い人たちの美しい姿は純粋でなんだかとても頼もしくて、アジアの力は凄いぞ!ということを見せてくれた演奏会でした。


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あーびぃ

こういうイベント、私も大好きです。
音楽の素晴らしさもさることながら、自分も彼らの熱いドラマの1部に参加できたというのはお金に変えがたい経験ですよね。
私達の知らないところでこのようなイベントや企画が各地、各国で行なわれているということに大きな刺激を与えられます。
ブログにアップしてくれてありがとう♪

by あーびぃ (2010-09-02 21:47) 

花かんざし

あーびぃさん、こんにちは♪
このオーケストラが夏の6週間限定だとは知らず、ただ香港のオケだとばかり思っていたので、意外性もあって思いがけない貴重な経験ができました。
かれこれ20年も続いているこのプログラムだそうですが、こんな活動があることを今回初めて知りました。
他にもこのような活動がたくさんあるのでしょうね。
音楽に限らず、どんなことでも人が真剣に取り組んでいる姿を見ると感動しますね!
私も大いに刺激になりました♪

by 花かんざし (2010-09-03 07:53) 

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