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【過去記事訳】文宣隊員チョビン [NORAZO インタビュー記事 2014]

最近すっかりハマってこのブログでもくどくどしく紹介しているドラマ「応答せよ1994」では登場人物の一人が軍隊に行ってくる姿も描かれています(14話、16話、17話)。それがちょうどNORAZOのチョビンと同じ頃に入隊という設定なので、ふとNORAZOのチョビンの過去記事を思い出し訳してみました。
  

国防日報home >企画・連載>企画シリーズ兵営の追憶
<20>陸軍第11師団 歩兵 歌手チョビン
千里行軍の苦痛を通して「大韓男児」へ生まれ変わる

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陸軍第11師団文宣隊員になる前の捜索隊員だった頃、部隊の極寒期訓練に参加したチョビン(左側)が同僚と一緒に一日の日課を終えた後、宿所のテントで休息を取っている。


韓国の歌謡界に空前絶後の強烈なキャラクターを誇るグループがあるとすれば断然NORAZOだ。「猟奇」グループという愛称がつくほど彼らのステージは強烈で独特だ。彼らのステージの圧巻はコミカルなコンセプトのステージを真面目にこなすメンバーの姿だ。

この中のコミカルな要素は当然チョビンの担当だ。三角おにぎり頭に黄金かんざし頭まで異色的なヘアスタイルにおどけたダンスを踊る姿は一度みたら忘れられない。妙な中毒性があって海外にもマニア(?)ファン層がいる。よその世界から落ちてきたようなチョビン。しかし彼にもチョコパイ一つに泣き笑いした二等兵時代があった。

軍の思い出話を聞かせてほしいと言う質問を聞いたとたん彼はにっこり笑ったかと思うと、すぐに思い出に浸った。「最近になって軍隊の頃がよく思い浮かんできます。しょっちゅうその頃の人々にまた会ってあの時に戻りたい気持ちになったりします。」と口を開いた。

チョビンは1995年7月入隊だ。江原道洪川に位置する第11師団が彼が男に生まれた第2の故郷だ。

チョビンの主特技は彼の表現どおり「全国民が愛するイルパンパン(*主特技番号100=小銃手)」歩兵だった。誇らしい捜索隊員としてあくせく生活していた万年一等兵の彼に変化が訪れた。現在コメディアンとして活躍しているキム・デヒに隣の小隊の古参のお蔭で出会えたことは彼にとって天運ともいえるチャンスだった。

「衛兵勤務に立っていたのですが、『来い』という呼び声が向こうから聞こえてきました。勤務を終えて生活館に戻ったらキム・デヒ兵長が文宣隊生活を終えて復帰していたのです。武勇談を並べ立てる彼の周辺で中隊兵力が全部集まってきました。その時も才智に長けていましたよ。中隊のマスコットでしたよ。」

すぐ隣の小隊のキム・デヒはチョビンにとって羨望の的だった。自分も軍隊の外で育てていた才能を軍隊で続けられるならという願いを心の奥に抱いていた。ところがその渦中に小隊の古参がキム・デヒにチョビンを推薦した。「こいつも歌が上手だ。一度見てくれ」というのが彼の推薦全部だったが、選手は選手を見分けるというように、キム・デヒは周辺の空気を読んで拒んでいるチョビンを粘り強く追及(?)して文宣隊に行きたいのかどうかを聞き出そうとした。

「文宣隊に行くと言えば無駄に仲間外れにしようという雰囲気になりそうで言い出せませんでした。その気がないとずっと答えても最後まで尋ねられたのです。後になって私の気持ちも確信を得て勇気を持ってお願いしました。チャンスを頂けるのなら本当に一生懸命しますのでと。」

キム・デヒが文宣隊へもう一度選出されしばらくしてチョビンにも合流命令が下った。一等兵の最終段階での話だ。これは彼に新しい世界が開くきっかけになった。師団の隷下部隊を行き来して公演をしながらチョビンは自分の才能を確認した。音響と照明などを直接扱いステージで同僚将兵と泣き笑いしながら自身の芸を発散した。チョビンは見栄えはしないが私服を着て慣れないメーキャップをして歌って演技していたその時代の話を盛んに続けた。

チョビンは今ではなくなった11師団の最後の文宣隊歌手だ。文宣隊の活動を終えて自分の所属する部隊へ復帰した先任兵に出会うことは慰問公演のまた別の楽しみだった。どんなかくし芸を見せようが点数を集め休暇を得るチャンスを与える後任の義理(?)を誇示したりした。これは除隊後も続いた。11師団文宣隊出身の芸能界の先輩たちはチョビンに会うたびに挙手敬礼を受け入れ激励を惜しまなかった。キム・グクチン、チョン・チャヌなどが彼の先輩だ。実際彼が今舞台に上がれるのも文宣隊の経歴のお蔭だ。

「文宣隊の中では演技班、歌手班、バンド班などに分かれています。歌手班の最古参が私を今の事務所(*2010年当時)に紹介して下さいました。歌も作曲して下さったりもしましたよ。私が他の部隊に行っていたらおそらく別の人生になっていたかもしれません。軍生活が私の人生を変えました。」

文宣隊活動への愛着は相当なものだった。彼に今すぐ軍生活へ戻るとするならどうなのかと聞いた途端「文宣隊公演をかっこよくしてみたい」という答えが返ってきた。劣悪だった環境のため満足できなかったステージに対する欲だった。しかし文宣隊活動が全てではなかった。

チョビンの軍生活で最も印象的に残っている瞬間は千里行軍だ。体力の限界を悟り男として生まれ変われたと語った。テコンドーの段位を取るため訓練していた記憶も思い浮かべた。

訓練を前に5キロを山岳駆け足で走るのだが「死ぬほど走るのが嫌いだった」という彼にとってこれよりひどいのはなかった。次第に体力がついてくるのが分かったが、軍生活以降も走るとなると首を横に振ったという。最近彼が出演しているKBS2TV「天下無敵野球団」でも走る姿をあまり見られない。(*天下無敵野球団の放送は2010年12月で終了)

現役将兵たちへ一言お願いするとたちまちステージの上のコミカルな姿は消えた。真剣な表情で心からのアドバイスを忘れなかった。

「軍隊に行くこと自体が人生から時間をかすめ取ると思い込み易いでしょう。不必要で無駄な時間だと考えますよね。しかし除隊したばかりの時はわかりませんが、だんだん時間が積み重なっていくと2年の時間が人生にとってなくてはならない時間たったことに気がつきます。将兵の皆さん方が今は辛くとも、耐え抜いた末に得られる人生の喜びを味わえるよう応援します。」

<キム・ソンハン記者 スポーツ韓国>

記事原文↓

<日本語訳:花かんざし> (*=訳註)

◆単語ノート◆
・문선대(文宣隊/ムンソンデ)…문화선전대(文化宣伝隊)の略。慰問公演や軍の広報映画、放送に出演するのが任務1997年からは芸能兵制度へ(2013年廃止決定)
・아주 가끔(アジュカックム)…자주と同じ位の頻度 よく しょっちゅう
・군번(軍番/グンボン)…軍人の通し番号 最初の二桁が入隊年
・주특기(主特技/チュトゥッキ)…基礎教育過程を終えた軍人が経歴と素質に照らして専門的教育を受けて習得した特技
・일빵빵(イルパンパン)…かつての主特技番号100=小銃手(歩兵)のこと。入隊すると特別なことがない限り普通この番号になったとか。今は111101で少し前は1111だった。
・위병 근무(衛兵勤務/ウィビョンクンム)…部隊の人命と財産を保護して規律と秩序を維持するために部隊や宿営地などの指定された場所で警備したり取り締まること ・재롱둥이(才弄——/ジェロンドゥンイ)…愛嬌者、お茶目、マスコット
・사회(社会/サフェ)…学生や軍人、囚人が自分の属した領域以外の領域を言う言葉
・열외하다(列外-/ヨルハダ、ヨレハダ)…列外 仲間外れ いじめ
・확신이 서다(確信-/フアクシニソダ)…確信が立つ⇒確信を持つ、確信を得る
・~노라고(~ノラゴ)…自分なりに~~しようと、~すると、~であると
・막바지(マクパジ)…最終段階 土壇場 行き止まり
・예하부대(隷下部隊/イェハブデ)…隷下部隊 
・볼품없다(ポルプモプタ)…見栄えがしない みすぼらしい 貧相だ
・어설프다(オソルプダ)…ぶざまだ 粗雑だ 生半可だ 場慣れしない
・성에 차다(ソンエ チャダ)…十分に満足する 満たされる 主に「않다」のような否定語を伴って満足するレベルに達して満足するようみなす
・천리행군(千里行軍/チョルリヘングン)…千里行軍 400㎞を重い装備を担いで一週間かけて歩く訓練のこと ちなみに韓国の1里は約400m
・단증(段證/タンチュン)…実力によりつけた等級を記載した証書
・구보(駆歩/クボ)…駆け足
・곤욕(困辱/コニョク)…困辱 侮辱 ひどい目
・갉아먹다(カルガモクタ)…(1)他人のものをせせこましく卑屈な方法で奪う (2)大切なものや時間を少しずつ無駄に消耗する 
・전역(転役/チョニョク)…軍隊で他の兵役に転じること 現役を終えても「予備役」「民防衛」の任務があるので「除隊」といわずに「転役」というそうです。


軍隊生活に上手く適応し2年後すっかりたくましくなって戻ってくる人が多いとは思いますが、中にはそうでない場合もあるようで。韓国の男の子のお母さんたちはどんな思いで息子を軍隊へ送っているのでしょうか。時々とても複雑な気持ちになります。

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