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のだめカンタービレ最終楽章前編とベートーベン・ウィルス [クラシック音楽]

カン・マエ: 公演時、何の曲をやるつもりだ。選んだものを挙げてみろ。
   ゴヌ: まず、チャイコフスキーの1812年序曲をするんです。
カン・マエ: 鐘をついて大砲をドンドンと撃たなければならないのに、それをどうやってする?だめだ。次。
(韓国ドラマ「ベートーベン・ウィルス」第12話に出てくるセリフ)

先日、映画「のだめカンタービレ」最終楽章の前編を見てきました。思ったよりも楽しい映画でした。以下韓国ドラマ「ベートーベン・ウィルス」と関連させながらの感想です。
◆注意:ネタバレしてます。

ニュースにもなったウィーン楽友協会でのベト7に期待して見に行ったのですが、これは冒頭のシーンとして出てきました。どうやらこのシーンは物語ではそれ程重要な場面ではなかったようです。(マンガを読んでいないので、ストーリーを知らずに見に行きました)でも、千秋の指揮する演奏シーンはとても良かったです。

さてその後、千秋が常任指揮者として就任したフランスの伝統ある「ルー・マルレ・オーケストラ」は今やすっかり落ちぶれてとんでもない状況にありました。誰でもいいからと演奏者をかき集める様子はまるで「ベートーベン・ウィルス」の第1話のようです。そういえば、イ・ジェギュ監督は「のだめ~」のファンとのことですが、もしかしてこの映画をご覧になったかしら?なんて思いました。

就任して間もなく行なわれた演奏会は、ある意味凄い演奏でした。こんなに下手な演奏をするオケを実際に見るなんて初めの経験かも。ラベルの「ボレロ」が「ボロボレロ」になっていて、笑っちゃいけないのに、笑ってしまいした。

そこから千秋の奮闘が始まります。千秋は「Sオケ」を思い出していますが、なんだかこの展開は「ベバ」にも似てます~。アルバイトに忙しくて、オケの練習に来れない団員たち。「ベバ」もそうでした。練習室は子供のバレエ教室にも貸し出しているので時間になると小さなバレリーナたちが乱入してきました。「ベバ」でも初めは教会の聖堂を借りて、後のマウス・フィルでは畜舎が練習室でしたね。

まずはきちんとオーディションをして団員を集めるのですが、ここでドイツ式「ファゴット」とフランス式「バソン」の違いを詳しく紹介していて勉強になりました~。
それから「のだめカレー」の場面では不吉な漢字がふわふわ漂う場面に爆笑でした。

やがてメンバーも揃い定期演奏会の練習が始まります。ここで「ベバ」をご覧になった方ならご存知の曲が出てきました。それはチャイコフスキー作曲の「序曲1812年」です。「ベバ」の第12話でゴヌが自分の部屋で玩具を並べて指揮の練習をしているところにカン・マエが戻ってくる場面で流れました。その後カン・マエに今度のフェスティバルで演奏するつもりだと話すと「鐘や大砲をどうするんだ?」と言われ即却下されてしまった曲です。

ここでカン・マエが言っているように、この曲は楽譜に「大砲」と指定があるようです。練習中には大砲の話は無かったので、演奏シーンが始まると私は大砲をどうするのか?が一番気になりました。途中でステージ脇から見ていた事務局員が慌ててどこかへ消えたので、たぶんそうかなと思っていましたが、予想通りでした。鐘はチャイムを使っていました。

次の曲はJ.S.バッハの「ピアノ協奏曲第1番」、ピアノは千秋が弾きながら指揮(弾き振り)をしていました。演奏を見に来ていたのだめはここからずーんと沈んでいきます。同じ曲を練習していたのに…、何も聞かされていなかったことも…、共演するのが夢なのにどんどん先へ行ってしまう千秋に取り残されたと感じるのだめです。

公演を成功させた千秋と対照的に暗く沈んだままののだめ、そして前編終了。でも、のだめも凄い才能を持っているのですよね。試験で演奏していた弾けるようなトルコ行進曲はとても良かったです。前編ではのだめの演奏シーンは少なかったですが、後編予告でショパンの「ピアノ協奏曲第1番」を演奏しているシーンがあったので、後編に期待します。

初めて「のだめ」のドラマを見たときはあの話し方や弾けた調子が合わなかったのですが、私自身もうすっかり慣れたようで、全く気にならずにのだめの世界(変態の森)へ入り込んでいました。アニメが飛び出すのもOKでした。一つの音楽が長い時間流れるのも良かったです。演奏シーンも指まで映して、うま~く撮れていました。俳優さんたち相当練習したんでしょうね~~。

コンマスは実際に演奏できる方なのかしら?この曲者のコンマス初めはどうなるのか心配しましたが、千秋と一緒にオケを再生へと引っ張っていきそうですね。コンマスの台詞「アンサンブルの真髄はハルモニー、要するに調和だ」という言葉と、千秋がのだめに説明した「ムジクス」「カントル」という言葉も印象に残りました。

映画の公式サイトを覗くとちゃんと「音楽リスト」がありますね。でもリストに載っていない曲もあるようです。映画を一回見ただけなのですが、以下の曲も流れていたと思います。
・チャイコフスキー「くるみ割り人形」小序曲
・チャイコフスキー「白鳥の湖」情景
・ベートーヴェン 「第九」第4楽章
・グリーグ「ペールギュント」ソルヴェイグの歌

最後に「ベートーベン・ウィルス」の韓国MBC公式サイトの「ABOUT クラシック」に「1812年」の曲紹介が載っていましたので、拙い訳ですがご紹介いたします。

ずっと以前に訳していましたが、内容がつまらなかったのでそのままになっていました。この曲はフランス軍に勝利したロシアの民の歓喜の音楽なのに、フランスの伝統あるオケの定演で使うって??

♪コヌがおもちゃをオーケストラのように配列しておいて指揮者練習をした場面
チャイコフスキー 1812年序曲 作品49

1812年9月ナポレオンは兵士を率いてモスクワを侵攻し陥落させた。しかし当時ロシア人たちはモスクワ市を燃やし捨てたので、ナポレオンの軍隊は飢餓と寒さにより悲惨な敗北を帰した。ロシアのこの勝利を記念するためにチャイコフスキーは「1812年序曲」を作曲した。ナポレオン軍隊を象徴するフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」が断片的に現れるとロシア国民の明朗な気分を暗示する民謡風の舞曲のメロディーが流れる。最後にロシアの国歌が入り乱れながら祝賀の鐘の音と大砲の音が鳴り出し、比べることができない勝利の喜びを表現した音楽だ。
Beethoven Virus韓国MBC公式サイトABOUTクラシックより】


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ppyy

花かんざしさん こんにちは。
音楽が好きな花かんざしさんがのだめの映画のことを書いて
くださる日がくるのを楽しみに待っておりました。
「1812年」の演奏が聴きたくて2回目を見に行きました。
ベバで話が出た時は曲を知らなかったのですが映画で大砲と鐘の意味がやっとわかったのでした。

フランス国歌とロシア国歌が出てきて 曲調もとても
変化の多いものですね。ロシアのほうで歓喜の状態にもっていくつくりなのですね。この選曲は盛り上がりますが 花かんざしさんの言われるように フランスで演奏するのはたしかに
どうなのか???ですねえ。
ついでに借りたチャイコフスキーのCDを聞いていたら
「スラブ行進曲」にもロシア国歌が出てくるのを知りました。

千秋とのだめが川のほとりに座って「カントル」「ムジクス」の話をしていた時に流れていたエルガー「エニグマ変奏曲・ニムロッド」がとても素敵だったのでこのCDも聞いています。
さまざまな生活を抱えている団員たちの練習姿のバックにもこれを流していたのでした。だから余計に涙が出てきました。
ベバで見てきたものが心の中に残っていたからなのかもしれっませんね。


by ppyy (2010-02-07 10:32) 

花かんざし

ppyyさん、こんばんは~♪
コメントありがとうございます。

私がきっとこの映画を見に行くだろうと予想しておられたのですね(笑)
確かに、「ベバ」の話の中にもよく「のだめ」の話が出てきますし(今紹介中の監督のインタビュー記事にも少しだけ「のだめ」の話がでてきます)昨年末の公開時から気になっていたのですがなかなか都合がつかなくて、やっと観に行くことができました。ppyyさんはもう2度もごらんになったのですね~。

ところで、ppyyさんのお蔭で、また一つリストに載っていない曲を知る事ができました。
エルガーのエニグマ変奏曲の第9変奏「ニムロッド」が「カントル」「ムジクス」の場面と、様々な事情を抱えながらも楽器を放さず練習していた団員たちの場面のBGMだったのですね。教えてくださりありがとうございます♪
私はこの曲をよく知らなかったのですが、今聞いてみると心にしみ入るいい曲ですね。まだまだ私の知らない素敵な曲がたくさんあることに気が付きました。

「1812年」は私の持っているCDを改めて聞いてみたら、冒頭の部分、映画ではチェロに何度も練習させる部分が合唱になっていましたよ。最後の鐘の乱れ打ちのところにも合唱が。ちょっと珍しい版かもしれません。
おっしゃるとおり「スラブ行進曲」にもロシア国歌のフレーズが流れてきますね。
そういえば、映画の定演の3曲目もチャイコフスキーでしたね。原作はどうなのかしら??

by 花かんざし (2010-02-08 00:34) 

ppyy

花かんざしさん お返事ありがとうございます。
うふふ。はい、映画 ご覧になるだろうと思っていました。
「エニグマ変奏曲」にはニムロッドの他にも素敵な曲が沢山
ありますでしょ。私もCDは持っていたのに名前のイメージが変?という理由だけで全曲聴いてなかったのです(恥)

千秋のコンサートの選曲は 監督が何百曲も聴いた中から
決めたのだそうですよ。
私の友人は コンサ・でだしであの盛り上げより最後のほうがいいのでは?と言っていました。
しかし 先にどんどん進んでしまう千秋に対し のだめの受けたショックを 映画後編につなげるためには あの順番にするしかなかったのかもしれませんね。

マルレ・コンサ、原作の曲リストはwikiによると こうなっていましたよ。
# ロッシーニ:ウィリアム・テル序曲
# ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
# ニールセン:交響曲第4番『不滅』(消し難きもの)
# チャイコフスキー:幻想序曲『ロミオとジュリエット』
# J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第1番ニ短調(原曲:チェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052)
# ベートーヴェン:交響曲第4番
やはり スタッフが映画的盛り上がりや練習時間など計算して変えたのでしょうね。

「1812年」の合唱つきは ネットでも噂を聞きました。そちらバージョンも聞いてみたいです。
レンタルした版はサントラ版よりテンポがかなり遅く 違って聞こえます。やはり指揮者別に聞き比べてみるのもいいですね。
by ppyy (2010-02-08 08:32) 

花かんざし

ppyyさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます。

それから原作のコンサート曲目を教えてくださってありがとうございます。
第1曲目が「ウィリアム・テル序曲」だったのですね!「ベバ」の第5話公演曲じゃないですか~~^^
しかし、かなりマイナーな曲が多いですね~。
「ロミジュリ」がプロコフィエフでなく、チャイコフスキーだなんて。
ベートーヴェンの交響曲も偶数番号の曲はあまり馴染みがないですし。
でも音楽通をうならせる選曲なのかもしれませんね。

映画の選曲も良かったと思います。お蔭で「1812年」に光が当たったわけですし。
「1812年」の合唱つき、私が聞いたCDは西本智実さんの指揮でした。
by 花かんざし (2010-02-08 09:51) 

ppyy

花かんざしさん 教えてくださりありがとうございました。

>「1812年」の合唱つき、私が聞いたCDは西本智実さんの指揮でした

早速借りてきました!ニューイヤーコンサート’04かな?と
思いまして。
冒頭を合唱で聞くと聖歌ということがよくわかりました。ロシア正教なんだそうですね。
中間部の演奏がとても素敵でした。
最後のクライマックスは本物の鐘を鳴らしていたのですね。まさに各楽器が大乱打。狂喜乱舞。小さなスピーカーではすべてのパートの音が混じってしまい大混乱状態でした。
実際の会場で盛り上がるにはとてもよいかもしれませんね。
それにしても西本さんもすごいです!
by ppyy (2010-02-09 20:01) 

花かんざし

ppyyさん、おはようございます♪
コメントありがとうございます。

そうです、そのCDです!
曲目を見ると、「モルダウ(ヴルタヴァ)」「ハンガリー舞曲第5番」そして「1812年」と「ベバ」で出てきた曲が3つも入っているし、それ以外にも「アイーダ凱旋行進曲」「フィンランディア」「ダッタン人の踊り」と好きな曲ばかりだったので、レンタルしました。

ppyyさんがおっしゃるとおり、「1812年」の最後の部分はライブ録音だからか鐘の音が大きくて大混乱って感じがしますね。コンサートホールの客席に座って聞くと大迫力でいいのかも知れませんね。
西本さん、女カン・マエみたいで素敵です~~^^

by 花かんざし (2010-02-10 08:29) 

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