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ベバ監督インタビュー記事その3「イ・ジェギュ ウィルス HAPPY VIRUS」 [【韓国ドラマ】ベートーベン・ウイルス]

韓国ドラマ「ベートーベン・ウィルス」監督のインタビュー記事訳の3回目です。シンドロームまで巻き起こしたカン・マエについて監督が語っています。

ELLE.co.kr > STAR > ENTERTAINMENT > TV > 20081212日付け記事より
イ・ジェギュ ウィルス HAPPYVIRUS(ハッピー・ウィルス)

シン・ギジュ記者(以下シン):ところがそんな状況を演出しようとして、いつの間にか別の方面ではカン・マエという人物がとても大きくなってしまったということですか。

イ・ジェギュ監督(以下イ):みんながカン・マエという人物をとても愛するようになりました。思ったよりもたくさん愛されたのです。それでカン・マエという人物を扱う時にも逆に自由にできなくなりました。カン・マエをむやみに変化させたりや、カン・マエに誰かが挑戦するようになるとか、カン・マエが挫折するということを人々が見たがらなかったのです。

シン:人々は英雄を期待するから。

イ:カン・マエという人物を思いついた時からカン・マエは愛されるというはわかっていました。カン・マエは「ベートーベン・ウィルス」を成功させた要因です。しかしカン・マエをもう少し揺さぶらせたかった。もう少しだけ余裕があったのなら、人々はカン・マエがぐらつくのをもっと大きく感じて見たでしょう。ただ、みんなそれを見たがらなかったのです。

シン:カン・マエは「ベートーベン・ウィルス」にとって両刃の剣だったということですか。

イ:完全に両刃の剣でした。もちろんカン・マエという人物が完全に予想外で作られたのではありません。しかし作る人の立場ではその差がちょっと大きく感じられます。

シン:一体何故カン・マエが魅力的なのでしょうか?性格は口が悪くて気難しくて自分しか知らないのに。

イ:自分の仕事に対する確信と信念がある人だから。非常に徹底した人じゃないですか。私たちはそんな人に愛を感じざるを得ません。西洋ドラマの中の
Dr.HOUSE /ドクターハウス」に私たちが魅了されたことと同じ理由でしょう。

シン:そうでなくてもカン・マエを見ながら
Dr.HOUSE」を思い浮かべました。ところでDr.HOUSE」のグレゴリー・ハウスはカン・マエに比べると終始一貫して悪い奴です。もちろん彼の内面は孤独で暖かいようです。しかし演出者は絶対にそれを直接表現するのではありません。反対にカン・マエは言葉だけがキツイのであって、実はやっている行動は優しいです。トゥ・ルミの手を握るじゃないですか。追い出した人たちに道を開いてあげます。

イ:実は
Dr.HOUSE」を熱心に見たほうではありません。しかしカン・マエをそのようにまで味気ない表現にするのは少し難しかったです。そしてそのようにまでドライに持っていかないでおこうとしました。Dr.HOUSE」と違って「ベートーベン・ウィルス」は暖かい人々の物語です。感情的な部分をあまり省略する必要はありませんでした。そんな風にいくとたぶん視聴者たちが嫌がったでしょう。

シン:本当?

イ:ドラマがどれだけドライなのか、感傷的なのかは受け手の態度にとっても左右されます。Dr.HOUSE」だけみても相当に暖かみの無いようですが、「ER」に比べると感傷的です。しかし「グレイズ・アナトミー」に比べるとより少ないです。3つのドラマの中で、どのドラマがより優秀かをはっきりさせるのは難しいです。視聴者がどんなものをより好むのかの差であるだけです。「ベートーベン・ウィルス」の視聴者たちが見たがっていたのはあまり味気ないものではなかったようです。

シン:ドラマは私のような人間でもプチ・フランスに行かせる程に通俗的で直接的な媒体です。演出する際、ドラマを見る視聴者たちの感情を配慮しますか。ドラマは見る人をある場面で泣かせ、笑わすことができます。

イ:演出する際、何より私の感情に忠実であろうと努めました。違うことを考えないというのではありません。もともと演出する時、どっぷりとはまり込む方ですし、しかし作っては出しまた作る前に私もちょっと離れて、見る人が何を感じるだろうかとか、感じられるだろうかという考えをします。視聴者たちがこの場面でこんなになるだろうなと考えます。

シン:事実、悲しい音楽を鳴らしてどんどん感情を汲み上げることもできるのではありませんか。ドラマ演出はもしかすると感情を汲み上げようとする誘惑との戦いのようでもあります。

イ:そうです。ところが私がかなりたくさん汲み上げたと感じる場面で、どうしてそれ程しか刺激しなかったのかと何か言う人もいます。

シン:「ベートーベン・ウィルス」を演出する際、最も難しい点と言えば、やはりトーンを調節することでしょう。カン・マエだけを取ってみてもマンガのような人物です。ともするとパッと飛んで行ってしまうこともできます。パク・チョルミン氏が演技したペ・ヨンギは本当にマンガの中の人物ですし。

イ:初めにドラマを企画した時からそれをずっと悩みました。そして決めて置いて始めました。100%が写実的な事だというなら、120%くらいの線で行こう。写実的な感じよりはするっと浮かんでいこうと。
つづく…】
 

やはりカン・マエに対する視聴者の期待感が大きくなったために、監督としては思い通りできなかったもどかしさがあったようです。放送前の制作発表会見の時には、同時間帯に大きなドラマが二つ放送される事になっていたため、視聴率にこだわらず最善を尽くそうといった発言があったように思いますが、蓋を開けてみれば、予想以上の凄い人気ドラマになりました。

確かに、日本から眺めているだけでもカン・マエの大変な人気ぶりが伺い知れましたし、海を越えて日本にいる私たちまでも熱狂させました。

連続ドラマ見た後、次の放送日までにこれからの展開を考えて時間を過ごすのは私のドラマ視聴時の楽しみでもありますが、いつも思うのはドラマ(作品)のことを一番考えているのはやはり作家と監督だということであり、反対に視聴者は風に流される凧のように気まぐれな面があるようです。

時にはそんな視聴者の意見に制作側が振り回されてしまうこともあるかもしれません。制作側にとって視聴者の意見や視聴率の扱いは本当に難しいものでしょうね。臨機応変に理想と現実の妥協点を見つけられるかがドラマ成功の鍵ではないでしょうか。
…なんて、ちょっと堅い話になってしまいましたね。


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