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韓国歴史漫歩 [読書]

韓国歴史漫歩

韓国歴史漫歩

  • 作者: 神谷 丹路
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2003/07/22
  • メディア: 単行本


図書館でたまたま手にした本ですが、とても面白かったです!

江原道(鉄原、江陵、注文津)、京畿道(楊州、驪州)、忠清北道(堤川)などガイドブックにもあまり紹介されていない韓国の地方の町へ行き、そこにある日帝時代の遺物を訪ねる旅物語。

筆者は目的地に到着すると、まず役場で資料や地図を入手し、タクシーのアジョッシと会話を楽しみながら町を巡り、毎回のチェックポイントとしては町に残っている郷校(朝鮮時代地方にあった教育機関)、食堂ではいつもテンジャンチゲを注文するというかなり通な旅のスタイルに、初めはてっきり男性だとばかり思っていました。

この本では訪問場所として全部で16箇所が紹介されていますが、私は2項目の最後の方で初めてこの方が女性だと気が付きました~~。「歴女」という言葉を最近よく耳にしますが、韓国の歴史に関心を持つ私にとって筆者の神谷丹路(かみやにじ)さんの旅のスタイルは大変興味深いものがありました。

神谷さんが古い町を訪れたら必ず立ち寄るという「郷校(ヒャンギョ)」は、『朝鮮の儒学徒(知識階級)が集うサロンであり儒学(儒教)の研鑽の場、祭事の場だったから、日本の色濃い影響に染められた近代朝鮮社会にあっては、伝統的な朝鮮社会を守る砦のような場所だった。』(p.31より)ということです。日本だと藩校のような感じなのでしょうか?

学校でもあり、儒教の祭礼を行なう場所でもある郷校では、現在も祭享(チェヒャン)という孔子を祭る行事が行なわれている所もあり、偶然その祭礼を見学した時の様子も詳しく書かれていました。

訪問先の多くが日帝時代の遺物ということで、本書には韓国ドラマ「済衆院」に関係のある人物も登場しました。まずは明成皇后の生家です。閔妃という呼び方もありますが、『明成皇后という尊称を使わないのは、明成皇后を貶めているような気がするんですがね。』(p.66)という言葉に私もドキリ。

それからドラマ「済衆院」の最後の方にちらっと
許蔿(ホ・ウィ)将軍が出てきたのですが、この人物のことや十三道倡義軍の総大将李麟栄(イ・イニョン)の話も色々と書かれていてとても興味深かったです。

韓国の地方都市を旅する時、単に目的地を探して写真を撮って帰ってくるだけでなく、道中や目的地で様々な人々の生の声に耳を傾けることができたら…そうするためには韓国語の実力が相当必要でしょうね。

本書では訪問先で日本について前向きな、友好的な言葉を語る人が何人も登場していました。そしてこれからの日韓関係についてもお互いの歴史認識の溝を埋めるべきという言葉も書かれていて、正直ほっとしました。韓国の方からこのような言葉が発せられたのも、きっと神谷さんの真摯な態度を受けての言葉なのかと思いました。


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まりこ

花かんざしさん、おはようございます♪
おもしろそうな本ですね。情報通のタクシーの運ちゃんとおしゃべりしながら実際に歴史の舞台となった現地を巡る旅って、楽しそうでいいですねぇ。
この作者は相当韓国語が話せるんですね。すごいなぁ。
私はいわゆる何ちゃって歴女で、好きな時代にムラはあるし海外の歴史はとんと疎いんですが、なぜか古代韓国にあった伽耶の国にはとても心ひかれます。
私の連れは李舜臣将軍命ですが、時代劇で古代の衣装を身にまとうきれいな女性が出てくると、その美しさにほれぼれと見惚れることも。
史跡を巡る旅には憧れます☆:*:・( ̄▽ ̄)・:*:
by まりこ (2010-05-24 11:24) 

花かんざし

まりこさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます^^

この本の著者の旅のスタイルは私にとって憧れでもあり、目標にしたいような感じです。

まりこさんも歴史モノがお好きなんですね~
私も以前は新しいモノが好きだったのですが、近頃は古いもの、歴史のあるものに関心があります。

伽耶ですか~。
たしかチソン氏主演の新ドラマで「金首露」がありましたね~。
伽耶国を建国した王の一代記だとか。

韓国歴史ドラマの女性たちの衣装は色がカラフルですね~。
女優さんも美人揃いで、私も思わず見とれることがしばしばです^^

by 花かんざし (2010-05-24 23:25) 

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