韓国の小さな村で―近い昔の記憶 [読書]
神谷丹路さんの紀行本『韓国の小さな村で―近い昔の記憶』を読みました。これは先日読んだ『韓国歴史漫歩』より以前に書かれた作品です。
ところで、私が図書館へ行った時にまずチェックする棚は「新着図書」と「返却直後で未整理の図書」です。ここにはあらゆるジャンルの図書が並んでいるので思わぬ掘り出し物に出会えるチャンスも多く、私にとって楽しみなコーナーです。ここでずいぶん昔に面白い本に出会いました。古い話なので書名は忘れましたが、赤瀬川原平さんの「トマソンの無用階段」について書かれている本でした。
すっかり忘れていましたが、今回この『韓国の小さな村で』の中に「トマソンの無用階段(純粋階段)」が出てきて思わず小さく感動しました。でもそれは日帝時代の遺物なのです。
{こうした田舎の農村に取り残された奇怪な「遺物」を目の前にすると、韓国の人々にとって「日帝時代」とは、記憶の底に沈殿しているものではないことがよくわかる。それは、暮らしのただなかに横たわり、いまもその過去を突きつけている。}(本書p.124)
{住宅、農場、奉安殿、格納庫、砲台――まだまだそのほかにもたくさんある。もうすでに使いようがないのに、打ち壊されもせず、すでに憎悪の価値さえ失って、その姿をさらし続けてきた韓国の「トマソン」たち。}(本書p.132)
このねじれた風景を目の当たりにすると複雑な思いに駆られるのでしょうね。
他にもムーダン(巫堂)への取材やクッ(ムーダンによる祈祷の儀式)も興味深い内容でした。韓国ドラマを見ていると時代劇だけでなく、普通のドラマにも時々ムーダンのクッの場面が出てきますが、相談する人が多そうですね。
本書では越南したあるムーダンのインタヴューが書かれていました。越南というとベトナムみたいですが、そうではなく、朝鮮戦争の時、北から南へ逃れてきたということです。大変な苦労をなさった方ですが、巫女だけあって本当に不思議な力を持つ方のようです。
そして読み終わる頃に私はもう次の本を図書館で借りてきていました。それは小説「 太白山脈 」です。翻訳者の一人に本書の著者、神谷丹路さんもいらっしゃいました。どうにもこの本をよまなければ気がすまなくなってきて、でも「太白山脈」は全十巻もある長編小説。なんだかこの頃、何かに引っ張られているように本を読んでいますが、一体その先に何があるのでしょうか。
「徳恵翁主」も忘れていませんよ。児童向けは読み終えましたので今度また書きます~。
花かんざしさん、こんにちは♪
花かんざしさんはよく図書館に行かれるんですね。本の探し方もなかなかツウな感じですね。
新着図書のコーナーっていいかもしれませんね。ヘタに人気作家の新刊本を読みたいと思っても、まりこ市内の図書館では発売からしばらくすると700人、800人待ちという超常現象が発生することも(笑)
ところでこの本に書かれている遺物は、故意に残されているんでしょうね。
それは国を問わず人を問わず、過去の事実を後世に語るためであり、地元の方達も撤去する気もないんでしょうね。
このムーダンにも興味をひかれました。以前エジプトの巫女の生まれ変わりという学者の本を読んだことがありますが、好みが真っ二つに割れそうな内容でしたが彼女の語った場所から遺跡が発掘されたりと、とても面白かったです。
花かんざしさんが何かにひっぱられるように本を読まれているのは、もしかすると時代の移り変わり、転換期を敏感に感じ取っていらっしゃっていて、これからクローズアップされたりするものを掴んでおられるのかもしれませんね。
どうも私はそういうのには疎いんですが、おもしろアンテナだけはびよんびよんとのばしていたいなと思ってます(笑)。
徳恵翁主の絵本の感想も楽しみにしていますヽ( ̄▽ ̄)
by まりこ (2010-06-06 15:41)
まりこさん、おはようございます♪
コメントありがとうございます^^
図書館、考えることは皆同じようですね。私の住む所でも書店でのベストセラー本は予約が殺到しています。半年後か一年後のような忘れた頃にやっと順番がまわってくるので、書店での人気本を早く読みたい時は買った方が良さそうですね。
ムーダン…私自身は霊感のような能力が全くゼロなので、信じがたい気もするのですが、不思議な能力を持つ人も実際にいるようですね。
韓国のトマソンは撤去したくてもなかなか難しく別の用途にも利用し難い目障りな「無用の長物」になっているようですね。
もちろん、解放後に人々によって打ち壊された建物も多いようです。
私も流行にはさっぱり疎いのですが、面白アンテナはいつも長~く伸ばしていたいなと思っています。でも感度がよくないのであまりキャッチできてません(笑)
by 花かんざし (2010-06-07 08:03)