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「推奴」と「漢城別曲-正」の作品比較 [【韓国ドラマ】漢城別曲-正]

韓国ドラマ「漢城別曲-正」のクァク・ジョンファン監督は「推奴」の演出も手がけた方です。この二つのドラマは似ている部分が多く、共通点をいくつも数えることができます。これは二つのドラマを見た人なら誰でも感じることのようで、韓国の記事の中にも見つけました。

二つのドラマの作品比較が面白かったので例によって拙い訳ですが日本語でご紹介いたします。この記事は「推奴」の第
4話を見終えた段階の話です。「推奴」のネタバレは大丈夫だと思いますが、「漢城別曲-正」の結末が書かれていますので未視聴の方はご注意ください。尚記事中の※は私が勝手に付け加えました。

両班たちスパッと皆やっちまえ「推奴」どこかで見たようだけど?
「漢城別曲-正」と似たストーリーライン、結末が期待される
Ohmy News  2010.01.21 キム・ヒョソン記者

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▲「推奴」の上昇の勢いが恐ろしい KBS「推奴」HPより


KBS
TV水木ドラマ「推奴」の勢いが恐ろしい。放送2週目にして視聴率が30%を超えた。第1週目からチェ将軍(ハン・ジョンス扮)の蜜腹筋で話題を呼んでいるなど世論の関心を一身に受けている。

「推奴」はあるドラマとよく似ている。
2007KBS2TVで放送した「漢城別曲-正」だ。物語の展開方式と登場人物の性格、服飾などが本当に似ている。朝鮮後期の政治的混乱期を背景とした点も同じだ。

8話で構成された「漢城別曲-正」はいわゆる「マニア層」を確保するなど作品性を認められた。平均視聴率は6%を記録した。しかし、キム・ハウン、チン・イハン、イ・チョニなど新人俳優を起用したという点に照らしてみると低い数値ではない。むしろ時代劇の新たな地平を開いたという好評が続いた。

まさにその「漢城別曲-正」のクァク・ジョンファン監督が「推奴」の演出を引き受けた。今回は作品性だけではなく優れた映像、一層手堅いストーリーと共に戻ってきた。「双子」のように似ている二つの作品を一度比較してみよう。

◆あらすじ「両班たちを追い出そう」

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▲クッポン(チョ・ヒボン扮)は「両班たちをスパッと殺して民衆の世を作る」と言って
両班に対し不満を表す KBS「推奴」HPより

「両班たちをスパッと殺して民たちの世を作る。これがまさに俺たちの党がやることだ。同じように裸で生まれてきてこっちは主人でこっちは奴婢で、こんなの間違ったことではないか?」

「推奴」第3話で「俺たちの党に加入しろ」と言ってオッポクを説得したクッポン(チョ・ヒボン扮)の言葉だ。彼の言葉は「推奴」を貫くテーマ、すなわち両班と賤民の間の葛藤をよく表す。

両乱(壬辰倭乱・丙子胡乱)が襲ってきた朝鮮の社会は「荒れ地」になった。農村社会が蹂躙され耕す土地が減ってきた。百姓たちは飢饉に苦しまなければならなかった。飢えに直面した百姓たちは小作農へ転落した。一部は自ら進んで両班の奴婢になることもあった。急に「みすぼらしい格好」になったため百姓たちの不満が少なくなかった。「推奴」はそのような時代を背景とした。

1話でイ・デキルらに捕まえられたオッポク(コン・ヒョンジン扮)も「火縄銃さえあれば私が両班たちの頭に風穴を開けてしまえるのに」と言って不満を見せる。彼は結局「党」に入り両班を射殺する任務を引き受ける。

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▲「漢城別曲-正」のヤン・マノ(イ・チョニ扮)は奴婢を経験した苦しみを土台にして
自手成家(※自分の力だけで成功)した人物だ。彼は「新しい世の中」を作ると誓う
 「漢城別曲-正」
HPより

「百姓たちの膏血(※労働の賜物)を絞り上げて偉そうにする両班たちを何人もこらめてやりました。それが間違っていますか」

「漢城別曲-正」のヤン・マノ
(イ・チョニ)は元々奴婢だった。通訳官などを経て財力を築いた彼は市廛の総行首(※常設市場の総代表)に登りつめ漢陽(※今のソウル)の商権を握るようになる。同時に彼は「殺主契」と言う武力集団の統領だ。彼の目的は身分制を覆し「百姓たちが住みよい世の中を作ることにある」彼は「黒い金」で両班たちを丸め込む。障害物は「殺主契」を通して一つ一つ消していく。

身分制の弊害は単に賤民だけの問題ではなかった。庶子(両班の子息のうち妾の子)の場合、特定の階層として公然と差別された。朝鮮の全時期にわたり官職登用を禁止されていた。財産相続においても正妻の実子と違う待遇を受けた。しかし正祖の当時、朴斉家など庶子出身が奎章閣の検書官などへ重用されたことがある。

「漢城別曲-正」は正祖当時の時代性をよく反映した。漢城府の主簿ソ・ジュピル(ハン・ジョンス扮)、左捕庁軍官パク・サンギュ(チン・イハン扮)など庶子たちの戦いが見えていた。彼らは庶子出身の吏曹判書
(チョン・ヒョン扮)が反対勢力によって暗殺されるや事件解決のために首を突っ込む。

結局「推奴」と「漢城別曲-正」二つとも朝鮮時代の身分制の弊害を大きなテーマとした点が似ている。ただ「推奴」は奴婢と両班の間の対立を「推奴師」「党」を通して直接見せた。「漢城別曲-正」は両班-庶子間の対決を朝廷と宮殿内の暗闘を通して解き明かした。

◆ヒロイン対決「キム・へウォンVS
イ・ナヨン」

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▲「漢城別曲-正」のイ・ナヨンは父の謀反により奴婢の身の上へ転落する。
寒い冬にかじかむ手を
こすり合わせて洗濯する場面は
「推奴」のオンニョン
(後のキム・ヘウォン)を連想させる。 
KBS「漢城別曲-正」HPより

冬将軍が猛威を振るうある冬の寒い日 雪が舞う庭の前でこちこちに凍えた両手をこする娘がいる。それはまさにキム・ヘウォンでもありイ・ナヨンでもある。二つの作品の女主人公が働く場面がとても似ている。

「推奴」のヒロインはもちろんキム・へウォン(イ・ダヘ扮)だ。彼女はイ・デギルの家の奴婢だったが兄のクンノム(チョ・ジェワン扮)と一緒に逃げ出した。以来テギルは二人を追う推奴師になる。キム・ヘウォンはテギルが既に死んだとばかり思う。二人の間の葛藤が期待される局面だ。

「漢城別曲-正」の女主人公イ・ナヨン
(キム・ハウン扮)も似たような痛みを経験した。彼女は元々「両班のお嬢様」だったが父親の謀反によって一夜にして奴婢に転落する。彼女は元々パク・サンギュと一緒に「新しい世界」を夢見ていた。しかし奴婢の現実はあまりにも悲惨だった。「新しい世界」は両班たちの一言半句では叶わないものだった。

結局両親の復讐をするという誓いの下に「人を殺す」医術を学ぶようになる。その過程でパク・サンギュと再会するようになるが彼を無視するほかない。キム・ヘウォンとイ・ナヨンの二人とも過去の痛みを抱えていたという点、愛する人との葛藤があるという点などが似ている。

◆どこかでよく見た俳優だけど…

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▲俳優ハン・ジョンスは「漢城別曲-
正」でソ・ジュピル役を
「推奴」でチェ将軍役を引き受け熱演した。KBS「漢城別曲-正」HPより

「推奴」にはまた別の楽しみがある「漢城別曲-正」で見た顔ぶれを「推奴」でも容易に発見できるということ。

左議政イ・ギョンシク
(キム・ウンス扮)は政治世界の冷酷漢をそのまま見せてくれる。彼の低く押さえつける声は非情な性格をよく表す。俳優キム・ウンスは「漢城別曲-正」で礼曹判書パク・インビンで出演したことがある。パク・インビンは保守派の僻派のトップとして正祖(アン・ネサン扮)殺害をそそのかすなど色々と陰謀をたくらみ、さらに大きな陰謀に振り回され死を迎えることになる人物だ。

いわゆる「蜜腹筋」で名声を馳せはじめたチェ将軍(ハン・ジョンス扮)は「漢城別曲
-正」で漢城府主簿ソ・ジュピルで登場した。ソ・ジュピルは武術の達人で同じ庶子出身の吏曹判書(チョン・ヒョン)を助け僻派を追い出そうとする人物だ。しかしヤン・マノ一味の計略に陥って悲運の死を遂げてしまう。ソ・ジュピルの性格は「推奴」のチェ将軍とは違い気性が荒く大胆な点で違いがある。

「推奴」でかわいい話し方と行動で多くの男性視聴者の心をときめかせるソルファ(キム・ハウン扮)は「漢城別曲
-正」のヒロイン、イ・ナヨンで熱演したことがある。

その他にもキム・ジョンソク(左捕庁捕卒)、イ・デロ(ノ客主※推奴ではテハの師匠イム・ヨンホ役)キム・ヨンエ(ハン尚宮※推奴ではソルファのいた旅芸団の行首役)、コ・インボム(兵曹判書※推奴ではテギルの父)、ナム・ムンチョル(パク行首)、ユン・ジノ(左捕庁従事官※推奴では左議政の腹心パク・ジョンス役)、サ・ヒョンジン(パク尚宮※推奴ではソッキョンの乳母宮女チャン・ピルスン役)など助演たちの演技も二つのドラマで探すことができる。

◆「推奴」に対する期待

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▲「新しい世界」を夢見ていた「漢城別曲-
正」の主人公たちは皆凄絶な結末を迎える
 
KBS公式HPより

既に第5話だ。(※この記事の日付は2010121)逃げているソン・テハに向かって小矢(片箭)で狙いを定めていたテギルの姿が先週第4話の最後の場面だった。狙いをつけた矢を下ろし驚いた表情を浮かべていたテギルの姿は多くの期待を抱かせた。

「漢城別曲
-正」は「サッド・エンディング」だった。共に新しい世の中を夢見ていたパク・サンギュ、イ・ナヨン、ヤン・マノは凄絶な結末を迎える。最後の勝者は正祖を暗殺した全ての陰謀の頭、貞純王后(英祖の継妃・正祖の継祖母)だった。「新しい世の中」は来なかったし、いわゆる勢道政治の下地が描かれる。朝鮮後期の暗黒期と呼ばれる時期だ。

「推奴」の陰謀はまだ表れていなかった。イ・ギョンシクがテギルにソン・テハを捕えてこいとけしかけたことがきっかけではないかと思う。一本筋の通っているストーリーと俳優たちの熱演、その他にも数多い見どころが早くから多くの期待をもたらしている。「推奴」の活躍を注意して予想してみる。

記事原文↓
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0001304431 

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白椿

花かんざしさんこんにちは。
以前、「推奴」をご紹介くださったときから、なんとなくおもしろそうだなぁと、
注目してましたが・・・・そうなんですね、「漢城別曲―正」と同じ監督さんなんですね。
前回の作品では描ききれなかったものをさらに構想してつくられたのでしょうか?
ちょっとレンタルしちゃおうかなと思ってます。

まだまだ知らないことばかりですが、
朝鮮王朝時代の事は、1つのドラマでは語りきれないほどの長い歴史が
あるのでしょうね、ドラマをみればみるほど身分制度の厳しさ、
なんともいえない閉塞感の中でも、みながたくましく生き抜く姿とか、
(勿論日本の昔もそうであったと思いますが、)
でも最後は希望を持たせてくれるものがありますね。
なんとなくこの時代のドラマをてがける監督さんの情熱みたいなものは感じます。
by 白椿 (2011-03-25 14:18) 

まりこ

花かんざしさん、こんばんは。翻訳お疲れ様でした。
推奴はたしか、チュノと読むんですよね?オ・ジホも出演していた印象があって、
内容は詳しく知らないんですけど興味がありました。
結構ハードそうですね。びっくりしました。。
今日はお知らせに参りました。明日からうちで、短編の連載を始めます。
つまらない話ですが、暇つぶしに来て頂ければ幸いです。

by まりこ (2011-03-25 20:51) 

花かんざし

白椿さん、こんばんは!
コメントありがとうございます♪

「推奴」はTSUTAYA限定でレンタルも出てますし、
現在BS7で毎週月・火曜日の午後6時50分から放送中ですよ(次回が第10話です)。

雑誌で監督のインタビュー記事を読んだことがありますが、その中で「漢城別曲-正」での視聴率の反省からどうすれば大衆に受け入れられるのか徹底的に分析して「推奴」を撮ったとありましたが、両方見て納得しました(笑)

登場人物は「漢城別曲-正」だけでなく、他のドラマで見たことある方もいっぱい。
「快刀洪吉童」の王様。それにアン・ソクファン氏。「ベバ」の新市長。「茶母」「ベバ」のイ・ハヌィ氏。「茶母」のビョンテク父だったアン録事などなど…

現代劇よりも時代劇の方が物語をドラマチックにするための必須条件である越えられない壁が高そうですし、また架空の人物が自由に行動できる部分も多そうですね~。
でもたとえドラマの舞台として朝鮮王朝時代に場所を借りていても、そこから現在までずっと繋がっているものを感じますし、現代に生きる人々へのメッセージが込められていると思います^^

by 花かんざし (2011-03-25 23:37) 

花かんざし

まりこさん、こんばんは~!
コメントありがとうございます♪

おっしゃるとおり「推奴」と書いて「チュノ」と読みます。
逃亡した奴婢を捕まえることを仕事にしている推奴師が主人公です。
オ・ジホさんは推奴師に追われる側です。
本当に見どころ満載のドラマでしたよ~。

短編の連載!どんな内容なのでしょうか。
楽しみなお知らせ!ありがとうございます。

そうそう、ジアちゃんのニュースには驚きました。
美男美女の素敵なお二人にため息が出ます~~。

そして「ラ・カンパネラ」! 癒されます♪♪
ありがとうございます^^

by 花かんざし (2011-03-25 23:38) 

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