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「漢城別曲-正」脚本家インタビューその2「登場人物それぞれに『正』がある」 [【韓国ドラマ】漢城別曲-正]

一つ前の記事「漢城別曲-正」の脚本家インタビューのつづきです。
なぜまた今頃になってこのドラマの話題を?については一つ前で説明しています(苦笑)
そして結末に関するネタバレがありますのでドラマ未視聴の方はご注意ください。
 

[インタビューその2]「漢城別曲」パク・チヌ作家『登場人物それぞれに「正」がある』
チン・ジョングン記者 記事日時: 2007-12-17 再掲:2009-11-27
 
 
作家インタビューその2.jpg

[TVリポート]今年(※2007年)最高の時代劇として評価されているKBS 「漢城別曲-正」。 毎回名場面と名台詞を繰り出して視聴者たちより「極上時代劇」という絶賛を浴びた。「漢城別曲」が終わってから4ヶ月が過ぎた今、「漢城別曲-正」誕生のプロセスとその裏話を聞いてみた。

Q--多くの場面や台詞が名場面、名台詞に数えられた。 個人的には正祖が死を前にして投げかけた台詞や、ヤン・マノがナヨンとサンギュの死を目撃した後に残した台詞が印象的だった。 作家の立場で最も精魂を込めたとか、印象に残っている台詞があったと言えば?

A--名台詞のほとんどはクァク・ジョンファンPD(※監督)と何人かの補助作家たちのアイディアだった。 彼らのお蔭で名台詞の多い「漢城別曲」として視聴者に記憶されたので感謝の気持ちを伝えたい。

個人的には第1話のパク・サンギュとイ・ナヨンの回想シーン、木に縛られたパク・サンギュにイ・ナヨンが水を器に入れてからかう場面が書きながら最も楽しかった。 そして台詞は第1話の吏曹判書の台詞と、イ・ナヨンが言っていてヤン・マノが繰り返していた部分だが、吏曹判書が「朝鮮の民たちの半分以上が庶民だ。 私の身体にその血が混ざっているからこそ、はじめて彼らのための政治ができるのだ。 誇らしい血ではないか」と話す場面と、ナヨンが「望まなくてどうして成し遂げることができますか?」という場面だ。

Q--このドラマが政治的な内容を扱いながらも他のドラマと異なっていた点はナヨンの父親を通してその時代に「民主主義」についての端緒に触れてくれたという点だ。 朝鮮時代の王が主人公で作られたドラマで触れられなかった風景だった。正祖の改革失敗と毒殺で帰結したこのドラマからナヨンの父親を通して言わんとするものは何だったのか。

A--イ・ナヨン父親の謀反内容は台本を修正する過程でクァク・ジョンファPDと一緒にかなり悩んだ部分の中の一つだった。結局クァク・ジョンファンPDのアイディアで民乱(※一揆)を支援したと定めるようになったが、この点は啓蒙君主として心に抱くしかなかった正祖の改革の限界と仮に遥かに遠くても、その社会が進む方向を提示できていたと思う。

作家インタビューその1.jpg

Q--冠を脱いでしまう名も無き若い官僚の姿「青い松」を通して希望の余韻を与えた最後の場面は意味深長だった。 また、ナヨンとサンギュを忘れようとしながらも希望を抱くヤン・マノとサンギュの子供をお腹に宿した妓生の最後の姿は、やはり現在は成し遂げられなかったが後日の「希望」を物語った。 ラストの場面について作家の見解と、或は心残りがあったか? また、最後の場面について作家が構想していた他の「バージョンなど」はなかったのか?

A--最後の場面は台本以上に感じがよく表現されたと思う。 別の「バージョン」ならヤン・マノでなくてパク・サンギュが生き残って、死ぬ前に丙寅洋擾(※1866年にフランスと朝鮮が対立した事件)を体験して国王の改革意志を追憶するというもの~この場面でドラマを始めようともした~。また黄梅山でなく海岸でヤンマノがチェ・イヌの手から抜け出すために準備した船が燃えて、その上でイ・ナヨンが死んでいく場面くらいのようだ。もちろんヤン・マノが生きて月香と夢見るエンディングは同じだ。

Q--漢城別曲で「正」は何だったのか

A--元々のタイトルには「正」がなかった。 編集過程で正祖の前の一文字を取ったものだと聞いたが、たぶん正しく生きることが何なのかというドラマ中のテーマの中に一つを浮き彫りにさせるためにそうしたと思う。

ドラマの中の人物は皆それぞれの「正」を持っているが、私やクァク・ジョンファンPDは「何が最善、あるいは次善だからそのまま受け入れて下さい」とは言いたくなかった。その中一つを選ぶのはあくまでも個人の役割だと思う。ただしそれがパク・サンギュの言葉通り利己的な理由にだけ留まっている「正」ではなかったのなら、という願いだ。

今回の漢城別曲はドラマ的台詞というよりはむしろ 「文学的」な雰囲気がとても強く漂うほど台詞ごとに重みがあったし、息も長い部分が少なくなかった。 単刀直入に言うと「文章」が半端ではなかった。

「文章」が良いという称賛は「漢城別曲」の台本作業に携わって下さった方々のお蔭だ。 個人的に私もやはり良い「文章」を持つために努力したが、時には「良い」台本は「文章」だけでなく他のものが必要なのではと思う。

大学時代小説の習作をして「文学的」な雰囲気が台本にあるのだが、実はこの部分はこれから改善しなければならない部分だと思う。 良く見て下さったので「文学的」雰囲気が叱られなかったと考えている。 放送シナリオは文学とは違うためだ。

Q--KBSドラマシティ「彼らの真実」「もうチョヨンは踊らない」を通じて2編の単発ドラマを書いたことで知られている。元々の夢はドラマ作家だったか?

A--卒業後、生計問題で就職をして2002年ワールドカップを見た後「夢は叶う」というマスゲームを見てまた文を書いてみることに決心した。(笑) 小説よりは自分がやりたい話をもう少し多くの人に伝えられると考えてドラマを勉強し始めた。

作家教育院をはじめとして様々な経路を経て台本書きを勉強したが、その度に作家は堂々とした「作家精神」がなければならないという話を聞いた。 個人的にそれは「時代の精神」という言葉と相通じると見る。生意気だが、弱者の方に立って、人々が無視しようとするのを見せて、正しいことが何なのかという悩みを人と違ってやらなければならないことが作家の義務だと思う。

Q--突然仕事をやめて専業作家として出るのが容易でなかっただろうに?

A--決心したからできたよ。(笑) 初めは収入が一定しなくて困難もあったが多くはないが少しずつ収入が増えたので大丈夫になった。また、たくさん愛して下さってありがたく思う。 後悔はしていない。

Q--もしかして次期作を準備しているのか?

A--9月からキム・ジン原作「風の国」台本作業に参加した。 以前「海神」チームと一緒に来年の放送を目標に再び勉強する姿勢で作業に臨もうと努力している。 「風の国」が終わった後には現代モノを書いてみたい。

記事原文↓
http://www.tvreport.co.kr/cindex.php?c=news&m=newsview&idx=18342

◆単語ノート◆
・명품(ミョンプン/名品)…名品、名作、傑作、逸品、絶品、
・사극(サグク/史劇)…時代劇
・공들이다(コンドゥリダ)…精魂込める、入念、念入りにする、凝る
・화두(ファドゥ/話頭)…話の糸口、話のきっかけ、端緒、
・민란(ミルラン/民乱)…反乱、一揆
・요원(ヨウォン/遼遠、遥遠)…見当の付かないほど遥かに遠い先まで続く様子
・병인양요(ビョンイニャンニョ/丙寅洋擾)…大院君のカトリック弾圧により高宗3年(1866年)にフランス艦隊が江華島を侵犯した事件。丙寅迫害の時中国へ脱出したリデル神父が天津に来ていたロゼ提督に真相を報告することにより起こったが、フランス艦隊は約40日後に退いた。(국립국어원 표준국어대사전より)
・그들의 진실(彼らの真実)…KBSドラマシティ2006.06.03放送 出演:キム・ギョンイク、チェ・ミョンギョン、リュ・チャンウ、ホン・イェイン、ハン・ドンファン
・이제 처용은 춤추지 않는다(もうチョヨンは踊らない)…KBSドラマシティ2006.03.11放送 出演:チェ・ジュニョン、キム・ギュチョル、ユ・ヘジョン
・카드섹션(カドゥセクション)…card section 一定の間隔に座った人々が多様な色の紙や布を利用して字や図を表現すること、マスゲーム


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