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2016年春の韓国旅行 その7(4日目 駱山城郭ウォーキング) [韓国旅行]

旅行最終日は文化観光解説ボランティアさんの説明を聞きながら巡るソウル市の無料観光プログラム「ソウルウォーキングツアー」に参加しました。23もある様々なコースの中から、東大門を出発し駱山城郭から梨花洞壁画マウルを経て大学路までの「駱山城郭」コースに参加しました。

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東大門(興仁之門)
 
スタートは地下鉄東大門駅7番出口。気温はとても低いですがよく晴れウォーキングに良いお天気になりました。

まずはガイドさんから韓国の大まかな歴史の説明、そして漢陽の説明を受け、ソウル漢陽都城ガイドマップを受け取りました。ソウルは風水の考え方を取り入れた都市で、東西南北の山の稜線を利用してぐるりと城郭が取り囲んでいました。一部減滅区間はありますが、全体の70%が整備されているとか。

今回参加したコースはソウルの東に位置する駱山(ナクサン)の城郭を巡るコースです。ちなみに他の山は、北が北岳山(プガクサン)<別名は白岳(ペガク)>、西が仁王山(イナンサン)、南が南山(ナムサン)です。この四つの山を内四山と言うそうです。またソウル郊外の北漢山、徳陽山、冠岳山、龍馬山の四つを外四山と言うそうです。
 
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最初に地図を見ながら説明を聞きました
 
地図はこちら↓から入手できますが韓国版です。地図(韓国語版)

裏面のスタンプラリー(韓国語版)

 さて、まずは東大門
一般的に東大門(トンデムン)と呼んでいますが、門の扁額には「興仁之門(フンインジムン)」と書いてあります。城郭には4つの大門がありそれぞれに名前がありますが、その名前にも意味が込められているそうです。
それは儒教が説く「人が必ず備えるべき徳目」であるところの、「仁」、「義」、「礼」、「智」、「信」です。これを「五常/오상」というそうです。

東大門は「仁」で「興仁之門」(흥인지문/フンインジムン)
西大門は「義」で「敦義門」(돈의문/トニムン) 
南大門は「礼」で「崇礼門」(숭례문/スンネムン)
北大門は「智」で「粛靖門」(숙정문/スクチョンムン)
(ここだけ文字が合いませんが、後で調べたら、最初は「弘智門/홍지문/ホンジムン」にしようとしたが、「粛清門/숙청문/スクチョンムン」になり、後に「粛靖門/숙정문/スクチョンムン」になったとか。)

では「信」はどこにあるのでしょう。
地図のちょうど真ん中を見ると「普信閣/보신각/ポシンガク」があります。これが「信」なのです。
実はここの鐘の音に合わせて大門の扉を開閉していたということで、なるほどと納得しました。

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東大門の正式名称「興仁之門」
 
さて、東大門に話を戻して、4大門のうち他の三つは漢字三文字なのに、東大門だけ四文字になっています。実はこれにも理由があるのです。

ソウルを囲む山の標高に注目すると、他に比べて駱山が低いことや、清渓川が西から東へ流れることからわかる通り、東側が低地になっているとか。そのため風水的にこれを補う意味で門の名称を「興仁門」に「之」を加えて「興仁之門」にしたとか。

興仁之門の特徴としては名称の他にも、ソウル城外側に半円状の外壁があることも挙げられるそうです。これを甕城(옹성/オンソン)と呼ぶそうで、やはりこれも弱い東側を補うためだそうです。

コースの集合場所からほとんど動くこともなく、東大門を見ながらこれだけの説明を受けました~なんて奥が深いのでしょう~。でも興味深いです。

やっとウォーキングらしく歩き始めました。

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ここから半円形の壁で正面からは見えなかった門の通路が見えます

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城郭の石垣には文字が刻まれています
この城郭を作った責任者の名前だとか
 
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きれいに整備されたウォーキングコースですが、
傾斜きつめです

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真横からみた東大門(興仁之門)

屋根には他の王宮と同じように魔除けの置物たちが見えます。
これらは잡상(雑像/チャプサン)というそうです。上層には9個、下層には8個も並んでいます。
雑像の数が多いほど重要だということなので、東大門がいかに重要な建物だったかがわかります。

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きれいな青空です

途中にある漢陽都城博物館へ入り城郭の説明を受けました
新しい建物でしたよ

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漢陽都城の模型 

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雑像も展示してありました
 
大唐師傳、孫行者、猪八戒、沙和尚、二鬼朴…西遊記の登場キャラクターのようです

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レゴで制作された大門
 
市電が通っている!ではあの半円形の外壁はどうしていたの?と疑問に思いましたが、
よくよく扁額を見たら「崇礼門」とあります。この模型は「南大門」でした。

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この白い建物が「漢陽都城博物館」
こうして見ると外観は城壁をイメージしたのかしら

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城壁はこんな感じ

よくドラマの中にもこのような城壁を見かけますね。
足元にはライトがあるので、夜はライトアップされるのかな?
壁に開いた穴は銃眼(狭間)で、遠くを狙うために穴の傾斜が緩いものと、門の真下を狙うために穴の傾斜が急になっているものの二種類あります
 
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青空ですが、遠景はPM2.5や黄砂の影響なのかすっきりとは見えず
かすかに第二ロッテワールドタワーが見えます

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城郭東側の山の斜面にはびっしりと住宅が立ち並んでいます

城郭の西側も住宅密集地になっています
朝鮮戦争後に人々が住みつき出来上がった町並みだとか
車が通れない狭い路地が網の目のように広がっています

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車が通れる道も、このように急斜面

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雪が降ったり、道路が凍結した時は
歩くのも車の運転も大変そう
 
坂を下りると壁に絵が描いてある住宅がたくさんありました
ここは「梨花洞壁画村」というところです
 
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*ぼかし加工しています
壁画の前で写真を撮る人たちが行列していました
こんな階段をドラマでも見たことあるような

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*ぼかし加工しています
こんなアートが至る所にありました

駱山公園の中に入ります

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樹木でわかりにくいですが、巨大な岩です
 
これが駱山の姿で、花崗岩だそうです
確かにソウルの山々は山肌に白い岩が露出した岩山が多いですね

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駱山から見た北の北岳山(プガクサン)
手前の茶色の建物はソウル大医科大学

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こちらは西の仁王山(イナンサン)
この山の麓にある仁王寺は「風水旅行30」に紹介されていました
手前の白い大きな建物はソウル大学病院

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仁王山の隣に鞍山(アンサン)が見えます

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南山タワーも見えます
南山(ナムサン)のことを昔は木覓山(목멱산/モンミョクサン)と呼んでいたそうです

東の駱山(駱駝山ともいう)からソウルの内四山を全部確認できました~

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ところで、ガードレールにこんな作品がありました

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角度を変えてみると
空へ向かって旅するご主人とワンちゃん

この辺り一帯は「路上美術館」とも呼ばれているそうで
壁画だけでなく、色々と楽しい作品がいっぱいです

「タルトンネ(月の街)」も再開発が進み残っているところが少なくなってきているそうですが、この街は壁画アートや美術作品で観光地化して町並みを保存することにしたとか

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駱山公園の中にある駱山展示館へ
外は寒いので建物の中での説明はありがたい~

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駱山城壁も時代によって石の積み方が変化したようです

太祖(初代)の頃は自然の石を加工しないで積み重ねていたが、
世宗(4代目)の頃になると、石を長方形に加工し、下の方に大きな石、上の方に小さな石を積み重ね、
粛宗(19代目)の頃には全ての石を2尺四方に加工して隙間なく積み上げたそうです

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こんな絵がありました。
ソウルの内四山と4種の聖獣(青龍、朱雀、白虎、玄武)

ここでガイドさんから詳しく説明を伺いました。
韓国ドラマ「大王四神記」にも出てきた内容らしいので、ご存知の方も多いと思いますが、風水の考え方では先程の4種の聖獣(四神)に、実は色、方角、季節もセットになっているのです。いわゆる陰陽五行説ですね。更に儒教の基本的徳目の五常も一緒に対応しているとか。

駱駝山:青龍:青:東:春:木:仁
木覓山:朱雀:赤:南:夏:火:礼
仁王山:白虎:白:西:秋:金:義
北岳山:玄武:黒:北:冬:水:智
そしてもう一つ 王様(龍):黄:中央:土:信

この聖獣がソウルの内四山になっています。逆に言うと、朝鮮王朝の都と景福宮の場所を決めるときに、この4つの山を 青龍、朱雀、白虎、玄武に見立てたということですね。
 
この考え方は景福宮の4つの門の名称にも表れています。

東門:建春門(건충문)…東宮に通じていた。世子(皇太子)は日の昇る東に配置していた訳です
南門:光化門(광화문)…南の正門、最初は오문(午門)という名称だった。午は十二支の一つで昼の12時や南の意味がありますね
西門:迎秋門(영추문)
北門:神武門(신무문)…北を司る玄武から神武と言う名称に
これらの門の天井にはそれぞれの聖獣が描かれているとか

以前景福宮の光化門を撮った写真をあわてて引っ張り出して見ると...
門の天井に確かに朱雀が描かれていました。 
知っていたらもっときちんと天井を撮ったのに...
 
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*2015年9月に撮影した光化門
門の天井に朱雀が描かれています 
 
 以前、韓国語の授業で처용무(チョヨンム/処容舞)という伝統舞踊について少し習ったのですが、その時に五色と方角が出てきて、やはり東―青、南―赤、西―白、北―黒、中央―黄の関係だったのです。その時に今回知った風水からの五色と方向について知っていたら、もっと理解が深まったのになと思いました。
 
たぶん、これからは注意深く見ていくと、あちこちに風水的な考え方を取り入れたものを見つけられるようになるでしょう。ちょっと思い浮かべてみると、そういえば日本でも相撲の土俵上の房の色、鯉のぼりの吹き流し、七夕の五色の短冊、古都の朱雀門...次々と思い浮かぶものがあります。 

さて、また街歩きを続けます
 
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電線で描いた犬の散歩図

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カタツムリの絵の標識
천천히(ゆっくり)と書いてあります

 
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そして大学路のマロニエ公園へ到着
マロニエの木がシンボルの公園です

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ソウル大学校遺趾記念碑
 
大学路という地名の由来になったソウル大学は、医学部、歯学部、看護学部、附属病院を除いて今は冠岳(クァナク)区に移転しました

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マロニエ公園
今は演劇の街として有名ですね

ここでウォーキングツアー解散です

寒かったですがガイドさんの詳しい説明のお蔭でとても充実した2時間でした。五行や四神のことも今まであやふやだったのが、今回のツアーでそれらが一つに繋がった気がしました。今回は城郭のほんの一部を歩いただけです。まだまだ見どころは沢山ありそうですし、行けばきっと、また新たな発見があるだろうなと思うとわくわくします。次回はどこへ行こうかしら?次にソウルを訪問する時も是非またウォーキングツアーに参加したいと思いました。

◆メモ◆
ソウルウォーキングガイドツアーについて↓

今回参加した「駱山城郭コース」について↓


その8<終>へつづく
その6はこちら



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